修士課程看護学専攻 概要

医学系研究科の基本理念

 医学系研究科の基本理念「医学・医療の専門分野において,社会の要請に応えうる研究者および高度専門職者を育成し,学術研究を遂行することにより,医学・医療の発展と地域包括医療(地域社会及び各種の医療関係者が連携し,一丸となって実践する医療)の向上に寄与することを目指す」に基づき,次のような目的・目標と方針によって教育研究を行います。

修士課程看護学専攻の教育目的

 高度の専門性を有する看護職者にふさわしい広い視野に立った豊かな学識と優れた技能を有し,国内および国際的に看護学の教育,研究,実践の各分野で指導的役割を果たし,看護学の構築に寄与できる人材を育成します。
 修士課程看護学専攻は,社会の要請に応え看護の各分野において活躍できる,優れた研究・教育および高度な看護実践能力を有する看護専門職者を育成するため,その育成する人材像に応じて,教育課程を整備し,平成23年度から「研究・教育者コース」,「専門看護師コース」の2つのカリキュラムコースで教育課程を編成しています。その1つを選択し,それぞれの目的と専門性に応じた履修カリキュラム(コースワーク)を学生ごとに設計し,履修していきます。

〔研究・教育者コース〕
 研究・教育・実践の関連性に基づき、看護実践向上の基盤となる研究・教育について高度な知識と優れた遂行能力を有し、看護の各分野において優れたリーダーシップが発揮できる研究者・教育者・実践者として、看護を開発していくことができる人材を育成します。

〔専門看護師コース〕
 質の高い医療へのニーズに応え,特定の専門看護分野における卓越した看護実践能力をもつスペシャリストとしての役割が発揮できる人間性豊かな人材を育成します。 本学では平成23年度から専門看護師「慢性看護」の資格取得に必要な履修科目を日本看護系大学協議会の基準に沿って設定し,認可されました。 本研究科が定める所定の単位を修得することにより,慢性看護専門看護師の取得を目指すことができます。

学位授与の方針

 各コースの目的に照らして,学生が身につけるべき以下の具体的学習成果の達成を学位授与の方針とします。学位審査は研究科委員会が選出した3人の審査員による学位論文の審査ならびに最終試験によって審議され、研究科委員会の議を経て決定されます。

1.知識と技術
(1)各コースワークに沿った授業科目を履修・修得し,看護学研究・看護学教育の遂行に必要な基本的知識・技術および専門看護師分野における高度な専門職者に必要な知識・技法を身につけ,研究及び専門分野で活用・発展できる。

2.研究手法や研究遂行能力
(1)各コースの研究法授業及び研究実習や研究・実践活動を通して,研究を行うのに必要な研究計画・研究デザインの立案などの研究手法や研究遂行能力を修得し,科学的・論理的思考に基づいて研究を実行することができる。

3.研究者あるいは高度専門職者としての資質・能力
(1)看護倫理,看護におけるコア・コンピテンシー関連等の授業科目や研究室等での研究活動を通して,研究者あるいは高度専門職者に求められる高い倫理観とともに看護学の諸分野でリーダーシップを発揮する資質・能力を身につけている。
(2)研究の計画・遂行や論文作成に必要な情報収集ならびに学会・研究会等への参加を通して,日本語や英語を用いたコミュニケーション・スキルを身につけ,研究・活動等の成果の発信など,国内外の研究者あるいは専門職者と専門領域を通した交流ができる。

修士課程看護学専攻の教育目標

 教育成果として,次のことを達成目標とします。

1.高い倫理観と豊かな人間性を育み,看護学の分野で指導的役割を果たす能力を身につける。
2.幅広い専門的知識・技術を身につけ,看護学の分野での実践で発揮する。
3.自立して研究を行うために必要な実験デザインなどの研究手法や研究遂行能力,あるいは研究能力を備えた高度専門職者としての技量を身につける。
4.幅広い視野を持ち,国内外の研究者あるいは専門職者と専門領域を通した交流ができる。

修士課程看護学専攻の教育方針

 目的・目標の達成に向けて,次の方針のもとに教育の実施,カリキュラムの編成をしています。

1.高い倫理観に基づき看護についての問題を包括的にとらえ,柔軟に解決する研究能力を持った看護職者を育成する。
2.教育,研究,実践を通して,看護の多様な問題に対処できるように自ら研究し解決する習慣を身につける。

教育課程編成・実施の方針

 教育方針を具現化するために,以下の方針の下に教育課程を編成し,教育を実施します。
1.教育課程の編成
(1)看護学の基礎を学ぶ共通の教育科目と,〔研究・教育者コース〕, 〔専門看護師コース〕の目的に応じたコースワーク(履修カリキュラム)を学生ごとに設計することが可能な教育科目を体系的に配置した教育課程を編成する。
(2)多様なバックグラウンドを持つ学生に看護学の基礎的素養を涵養することを目的とした科目(看護理論,看護倫理,看護研究概論,看護教育論,看護管理,コンサルテーション論)を[共通選択必修科目]として配置する。
(3)コースの目的に沿って,研究を行うために必要な研究デザインや研究戦略の理論を学ぶ「特別研究」「課題研究」と,研究技術や遂行能力を修練する「研究法演習」などの科目を,[必修科目]として配置し,研究手法や研究遂行能力の修得を図る。
(4)研究者あるいは高度専門職者としての資質・能力を養う科目や専門分野の理解を深め,幅広い知識を修得するための科目(看護援助学特論,看護機能形態学特論,急性期看護学特論,慢性看護論,母性看護学特論,小児看護学特論,母子看護展開論,老年看護学特論,地域看護学特論,在宅看護学特論,国際看護学特論,精神看護学特論,看護統計学演習,看護教育方法論,がん看護学特論,生体構造観察法,実践課題実習)を[専門選択科目]として配置し,各コースの目的及び学生のニーズに沿った科目を選択することにより,個々の学生ごとにコースワークを設計する。
(5)慢性看護専門看護師としての専門分野における資質・能力を修得するための科目(慢性看護対象論,慢性看護方法論,慢性看護展開論,慢性看護援助論,慢性看護学実習)を[分野専門科目]・[分野実習科目] として配置する。

2.教育の実施体制
(1)研究指導及び授業科目の教育内容毎に,その専門的分野の教育を行うのに適した専門性を有する教員が,コース区分に囚われずに研究指導および講義・実習等を担当するように,本研究科における研究指導教員及び授業担当教員の適格審査基準に基づき研究指導教員及び研究指導補助教員を配置する。
(2)学生ごとに1人の主指導教員を置き,個別の学習及び研究指導を行う。
(3)各授業科目に教科主任を置き,授業内容に応じて複数の担当教員により実施する授業の一貫性を担保し,授業科目を統括する。

3.教育・指導の方法
(1)入学時に指導教員と学生が相談の上,個別の履修計画及び研究指導計画(コースワーク)を策定し,学生のニーズに即した学習及び研究指導を行う。
(2)講義による知識の学習と実験・実習による実証的学習や研究グループ内でのグループダイナミクスによる自己学習と問題解決法の獲得などをバランスよく組み合わせて,少人数の対話・討論型教育及び個別指導に重点を置いた教育を行う。
(3)国内外の学会・研究会等への参加を研究指導計画に盛り込み,積極的に参加させ,幅広い視野と専門領域における交流能力を育てる。
(4)学生ごとに研究指導計画に基づいた研究実施経過報告書を毎年度提出させ,研究指導及びその成果の進捗状況を研究科運営委員会及びコースチェアパーソン等により,組織的に点検する。
(5)社会人学生に対しては,教育方法の特例を適用した柔軟な授業形態による履修とともに,授業ビデオやeラーニングを活用した学習など,教育指導の工夫を行う。

4.学修成果の評価
(1)授業科目の学修成果を評価するために,授業科目担当教員は,測定する到達目標の特性に応じて,筆記試験,レポート(論文),発表,活動内容等により多面的評価を行う。
(2)個別の授業科目の成績評価方法については,シラバスに明示する。
(3)成績評価は成績評価基準に基づき判定する。

評語
(評価)
評点 評価基準 合否
判定
成績評定
(GP)
90点以上100点満点 学修到達目標を十分に達成し,極めて優秀な成果を上げている。 合格 4
80点以上90点未満 学修到達目標を十分に達成している。 3
70点以上80点未満 学修到達目標をおおむね達成している。 2
60点以上70点未満 学修到達目標を最低限達成している。 1
不可 60点未満 学修到達目標を達成していない。 不合格 0
※上記により評価が難しい授業科目は,合又は不可の評語によって表し,合を合格とし,不可を不合格とする。
(4)「研究法」授業の学修成果については,コースごとに関連教員と全学生が一堂に会した2年次学生の学位論文予備審査会を開催し,研究の進捗状況の確認・助言指導とともに,研究遂行能力の修得状況について評価を行う。
(5)学位論文審査は,1)学位論文の審査は,研究科委員会が選出した3人の審査員による学位論文の審査ならびに最終試験によって行い,2)論文審査に当たっては公開の論文発表審査会を開催し,3)最終試験は,学位論文を中心として,これに関連のある科目について口述により行う。 その審査(評価)基準は,①学位論文は,本専攻の目的に照らして学術的あるいは社会的に価値を有するものとし,②最終試験の結果は,可または不可で評価し,審査員3人による評定が全て可であることをもって合格とする。
(6)教育課程を通した学修成果を,学位論文及び各授業科目の成績を用いて総合的に評価する。
(7)成績評価の結果は,評価分布等を使用して定期的に点検を行い,必要に応じて教育方法等の改善を行う。

学位

 修士課程看護学専攻で取得できる学位は修士(看護学)です。

医学系研究科 研究室概要

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履修方法

 授業科目は,「必修科目」,「共通選択必修科目」,「専門選択必修科目Ⅰ」,「専門選択必修科目Ⅱ」から構成されています。

必修科目

希望するコースを学び研究遂行及び研究的取り組みを行う上で必要な科目で,研究・教育者コースは14単位,専門看護師コースは4単位を修得します。

共通選択必修科目

看護学の共通基礎として理解を深めることを目的としており,8単位以上を選択履修します。さらに,研究・教育者コースは,研究科間共通科目を2単位以上修得します。

専門選択必修科目Ⅰ

各自の目的に沿って専門分野の理解を深め,あるいは幅広い知識を修得するための科目群で,研究・教育者コースは,専門選択必修科目Ⅱの慢性看護方法論Ⅰ及び修士課程医科学専攻の授業科目のうちから2単位以内を含め6単位以上を修得し,専門看護師コースは慢性看護論を含め2単位以上を修得します。

専門選択必修科目Ⅱ

専門看護師コースが開設する慢性看護分野について,「分野専門科目」は,専門的な理解を深め幅広い知識を修得するための科目群で,6科目10単位からなり,「分野実習科目」は,実習を通して共通選択必修科目・専門選択必修科目を基礎とした専門的実践を深めるための科目群で,2科目6単位からなり,いずれも専門看護師コースは必修です。

詳細については

各授業科目の授業開設表及び学習要項(シラバス)等については,在学生向け情報を参照してください。

修了の要件

 修士課程看護学専攻を修了するためには,大学院に2年以上在学し,上記の授業科目につき30単位以上修得し,かつ,必要な研究指導を受けた上,修士論文の審査及び最終試験に合格することが必要です。ただし,在学期間に関しては,優れた研究業績を上げた者については,1年以上在学すれば足りるものとしています。

教育方法の特例

 大学院設置基準第14条では,「教育上特別の必要があると認められる場合には,夜間その他特定の時間又は時期において授業又は研究指導を行う等の適当な方法により教育を行うことができる。」旨規定されており,社会人等の修学についての配慮が明記されています。

 本研究科修士課程看護学専攻では,本大学院での修学を希望する社会人等に対して,同条に定める「教育方法の特例」による教育を実施しています。「教育方法の特例」を希望する者は,指導教員と相談のうえ,授業及び研究指導を夜間や特定の時間又は時期に受けることができます。